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ブショネとは?見分け方やコルクの特徴、当たった時の対処法・返品について徹底解説

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ワインを開けた時に「なんだかカビ臭い」「段ボールのような匂いがする」と感じたことはありませんか?それはワインの劣化現象である「ブショネ」かもしれません。本記事では、ブショネの意味や見分け方(コルクの見た目・写真・匂い・味)をはじめ、飲んでも体に悪くないのか、レストランや購入店での返品対応、サランラップを使った脱臭法や料理への使い道まで詳しく解説します。ブショネの正しい知識を身につけて、ワインを安心して楽しみましょう!
目次

ブショネとは?ワイン用語としての意味を分かりやすく解説

ブショネとは?ワインにおける意味

ブショネ(Bouchonné)とは、ワインの品質劣化(オフ・フレーバー)を引き起こす現象の一つです。主にコルク栓の汚染が原因で発生し、ワイン本来の豊かな果実味や香りが失われ、カビや湿った段ボールのような不快な臭いを発する状態を指します。

ワイン愛好家の間では「このワイン、ブショネってる」といった表現が日常的に使われることもあります。レストランでソムリエがワインを開栓した際に、お客様がテイスティング(ホストテイスティング)を行う最大の目的も、ワインがブショネになっていないかを確認するためです。

ブショネの語源はフランス語

「ブショネ」という言葉は、何語かというとフランス語に由来しています。フランス語でコルク栓を意味する「bouchon(ブション)」から派生し、「コルクの臭いがついてしまった状態」を表す言葉として定着しました。

フランス語での正しい綴り(スペル)は「Bouchonné」となります。ワイン用語として広く知られていますが、他の言語では以下のように表現されます。

  • 英語:Corked(コークト)、Cork taint(コルク・テイント)
  • イタリア語:Sa di tappo(サ・ディ・タッポ)

このように、ブショネはフランスに限らず、世界中のどの国のワインでも起こり得る共通のトラブルとして認識されています。

【写真あり】ブショネの見分け方!コルクの見た目・匂い・味の特徴

ブショネの見分け方:まずは「匂い(香り)」を確認しよう

ブショネを見分ける上で、最も分かりやすく確実な判断基準となるのが「匂い(香り)」です。ブショネ特有の不快な匂い(ブショネ臭)は、ワイン本来の豊かな果実香を覆い隠してしまいます。具体的には以下のような匂いが特徴です。

  • 濡れた段ボールや古新聞のような匂い
  • カビ臭い地下室や、ホコリっぽい押し入れの匂い
  • 雨に濡れた犬の毛のような臭い

ブショネの匂いは、ワイングラスに注いだ直後から感じられることが多いですが、グラスの中で空気に触れて時間が経つにつれて、さらに不快な香りが強くなる傾向があります。なお、ワインを開けたてに感じる「還元臭(硫黄やマッチを擦ったような匂い)」と混同されがちですが、還元臭はグラスを回して空気に触れさせる(スワリングする)と消えるのに対し、ブショネ臭はどれだけ空気に触れさせても消えずに残り続けるのが見分け方のポイントです。

コルクの見た目や写真でブショネは判断できる?

「ブショネはコルクの見た目や写真で判断できるのでは?」と考える方も少なくありません。しかし結論から言うと、コルクの見た目だけでブショネを確実に見分けることは非常に困難です。

ブショネの原因となる化合物は目に見えないため、コルク自体が綺麗で異常がないように見えても、ブショネが発生しているケースは多々あります。ただし、以下のような状態のコルクは、保存環境が悪くカビが過剰に繁殖している可能性があり、ブショネのリスクが高まるサインとして参考になります。

  • コルクの側面にまで黒カビや緑カビが深く入り込んでいる
  • コルクが極端にボロボロで弾力がなく、劣化した匂いがする
  • ワインの液漏れ跡があり、ツンとした異臭がする

ワインのキャップシールを開けた際、コルクの上面(外側)に付着している少量のカビは、ワインセラーなどの適切な湿度で保管されていた証拠であり、必ずしも「コルクの表面にカビ=ブショネ」を意味するわけではありません。

ブショネの「味」の特徴とは?酸っぱい・酸味が強い?

匂いが弱い「軽いブショネ」の場合、香りを嗅いだだけでは気づかず、実際に飲んでみて初めて違和感を覚えることもあります。ブショネのワインは、味覚においても次のような特徴が現れます。

果実味の欠如
ワイン本来のフルーティーな甘みや旨味がすっぽりと抜け落ちており、平坦で水っぽい印象を受けます。
不自然な苦味や渋み
飲んだ後の余韻に、カビや湿った木材を思わせる不快な苦味が口の中に残ります。
過度な酸味(酸っぱいと感じる場合)
果実味が完全にマスキングされてしまうことで、相対的にワインの酸味が際立ち、「異様に酸っぱい」と感じることがあります。ワイン自体が酸化して酸っぱくなったわけではなく、味わいのバランスが崩れることによる錯覚です。

いつものお気に入りのワインと比べて明らかに味が薄く、カビっぽいニュアンスや不自然な酸っぱさを感じた場合は、ブショネを疑ってみてください。

ブショネのワインは飲める?体に悪い影響はあるのか

ブショネのワインは飲んでしまっても大丈夫?

せっかく開けたワインがブショネだった場合、「もったいないから飲みたい」「誤って一口飲んでしまったけれど大丈夫?」と心配になる方もいるでしょう。結論から言うと、ブショネのワインを飲むこと自体は可能です。

しかし、ブショネ特有の濡れた段ボールや湿った地下室のような不快な匂いがあり、ワイン本来の豊かな果実味や香りは失われています。そのため、我慢して飲んでも決して美味しく感じることはありません。

体に悪い影響や健康被害はあるの?

ブショネのワインを飲んでしまった際に最も気になるのが、「体に悪いのではないか」「健康に悪影響があるのではないか」という点です。

ブショネの主な原因は、コルクの製造過程や保管環境で発生するTCA(トリクロロアニソール)という物質です。このTCAはごく微量でも強い異臭を放ちますが、人体には完全に無害であることが科学的に証明されています。

そのため、誤ってブショネのワインを飲んでしまっても、お腹を壊したり、体調を崩したりといった健康被害の心配はありません。

  • 毒性はない:TCAは人体に悪影響を及ぼす毒素ではありません。
  • カビを飲んでいるわけではない:カビが直接ワインの中で繁殖しているのではなく、微生物と塩素が反応してできた「匂い成分」がワインに移った状態です。

このように、ブショネのワインは「体に悪い」わけではありませんが、ワインとしての風味は大きく損なわれています。無理にそのまま飲むのではなく、購入店舗に交換を相談したり、別の活用方法を試したりすることをおすすめします。

ブショネに当たった時の対処法!お店での返品や自宅での使い道(サランラップ脱臭法など)

レストランやワインショップでの返品・交換対応

レストランでワインを注文した際や、ワインショップで購入したワインがブショネだった場合、多くのお店では返品や交換の対応をしてくれます。

  • レストランの場合:ソムリエやスタッフに「ブショネかもしれない」と伝えましょう。テイスティングで確認してもらい、ブショネと判断されれば別のボトルと交換してもらえます。
  • ワインショップ(エノテカなど)の場合:購入した店舗に連絡し、中身を捨てずにコルクと一緒に店舗へ持ち込むか、着払いで送りましょう。エノテカなどの大手専門店でも、ブショネと確認できれば同等のワインとの交換や返金対応を行ってくれることが一般的です。

ただし、購入から長期間が経過している場合や、中身をほとんど飲んでしまっている場合は、返品・返金対応ができないことがあるため注意が必要です。

【裏技】ラップを使ったブショネの脱臭法

自宅で手軽にできる対処法として、ラップを使ってブショネの臭いを軽減させる裏技があります。インターネット上では「サランラップ脱臭法」などと呼ばれることもありますが、実践する際にはラップの素材に注意が必要です。

ブショネの原因物質であるTCA(トリクロロアニソール)は、ポリエチレンに吸着しやすいという性質を持っています。

  1. グラスやデキャンタにブショネのワインを注ぐ。
  2. 丸めた「ポリエチレン製」のラップをワインの中に入れる。
  3. 15分〜30分ほど浸し、ラップを取り出す。

注意点:一般的な「サランラップ」はポリ塩化ビニリデン製のため効果が薄く、必ずパッケージの成分表示を確認して「ポリエチレン製」のラップを使用してください。また、この脱臭法はワイン本来の繊細な香りも一緒に奪ってしまうため、どうしても飲みたい場合の応急処置として考えましょう。

ブショネワインの使い道(料理酒への活用)

どうしても臭いが気になって飲めない場合や、返品が難しい場合の使い道として、料理酒に活用する方法があります。加熱することで、ブショネ特有のカビ臭さはある程度飛びやすくなります。

赤ワインの場合
ビーフシチューや赤ワイン煮込みなど、お肉を長時間煮込む料理に使うのがおすすめです。お肉を柔らかくし、料理にコクをプラスしてくれます。
白ワインの場合
魚介のワイン蒸しや、パスタソースの隠し味などに活用できます。

ただし、あまりにもブショネの臭いが強烈な場合は、料理自体にカビのような風味が移ってしまう可能性があります。まずは少量を料理に使い、味が損なわれないか確認してから活用することをおすすめします。

ブショネが起こる原因と発生確率(トリクロロアニソールやカビの影響)

ブショネが起こる最大の原因は「トリクロロアニソール(TCA)」

ブショネ(コルク臭)が発生する主な原因は、トリクロロアニソール(TCA)と呼ばれる化学物質です。

ワインの栓として使われる天然コルクには、微小なカビや菌が付着していることがあります。これらの微生物が、コルクの洗浄・漂白に使われる塩素化合物、あるいはワイナリー内の木樽や建材に使われる防腐剤などと化学反応を起こすことで、TCAという成分が生成されます。

このTCAがワインの液体に移行すると、湿った段ボールやカビのような不快な臭いを放ち、ワイン本来の豊かな香りを奪ってしまうのです。

ブショネの発生確率はどのくらい?

天然コルクを使用しているワインにおいて、ブショネが発生する確率は一般的に約3〜5%(およそ20〜30本に1本の割合)と言われています。

決して低い割合ではないため、ワインを日常的に楽しむ方であれば、いつかは遭遇する可能性が高い現象です。なぜこれほど発生するのか、以下のような特徴があります。

  • 高級ワインでも発生する:ワインの価格や品質、熟成期間に関わらず、天然コルクを使用している限りブショネのリスクはゼロになりません。
  • ワイナリーの衛生管理だけでは防ぎきれない:コルクの樹皮という天然素材に由来するため、完全に発生を防ぐことは非常に困難です。

コルク以外の要因で発生するケース

ブショネはコルクそのもののカビだけでなく、ワイナリーの環境が原因で発生することもあります。

環境由来のTCA
醸造所の木樽、パレット、段ボールなどに潜むカビが塩素系消毒剤と反応し、空気中を通じてワインにTCAが移行するケースです。この場合、同じ施設で造られたワインの多くがブショネの影響を受けてしまうことがあります。

近年では、コルクメーカーの技術向上や、塩素系薬剤の使用を控えるワイナリーが増えたことにより、ブショネの発生確率は徐々に低下する傾向にあります。

スクリューキャップやシャンパン・白ワインでもブショネは発生する?

シャンパンや白ワインでもブショネは起こる?

ブショネは、赤ワインだけでなく白ワインシャンパン(スパークリングワインなど、ワインの種類に関わらず発生します。なぜなら、ブショネの主な原因はワインの液体そのものではなく、栓として使用されている天然コルクに潜むTCA(トリクロロアニソール)という化学物質だからです。

そのため、天然コルクを使用している限り、高級なシャンパーニュであってもデイリーな白ワインであっても、等しくブショネのリスクを持っています。また、コルクの破片を集めて接着した圧搾コルク(圧縮コルク)を使用している場合でも、原料の一部に天然コルクが含まれている以上、ブショネが発生する可能性は十分にあります。

スクリューキャップや合成コルクでの発生リスク

近年増えているスクリューキャップやプラスチック製の合成コルク、さらには大容量の箱ワインなど、天然コルクを使用していないワインの場合はどうでしょうか。結論から言うと、これらにおいて「コルク由来のブショネ」は基本的に発生しません。

しかし、「スクリューキャップなら100%ブショネがない」と言い切れないのがワインの複雑なところです。ごく稀に以下のようなケースで、ブショネと同様の不快なカビ臭(還元臭などとは異なる臭い)を感じることがあります。

  • 醸造所の木樽や木製の貯蔵設備がTCAに汚染されており、ワイン自体に臭いが移ってしまった場合
  • ワイナリーのセラー内のカビや環境が製造工程で影響を及ぼした場合

これらはコルクではなく醸造環境に由来する汚染ですが、結果としてブショネと同じ特徴的な劣化臭を放ちます。とはいえ、スクリューキャップや合成コルクのワインでこの現象に遭遇する確率は、天然コルクのワインに比べて極めて低いと言えます。

【豆知識】フランスの郷土料理店「ブション(ル・ブションなど)」との違い

ワイン用語の「ブショネ」と大衆食堂の「ブション」の違い

ワインの劣化を示す「ブショネ(bouchonné)」とよく似た言葉に、フランスのレストラン名などで見かける「ブション(bouchon)」があります。語源は同じですが、使われるシーンや意味合いが大きく異なります。

ブショネ(bouchonné)
ワインがコルクの劣化によって、カビや湿った段ボールのような異臭を放つ状態のこと。
ブション(bouchon)
フランス語で「コルク栓」そのものを意味する言葉。また、美食の街として知られるフランス・リヨン地方における伝統的な郷土料理店(大衆食堂)を指す言葉としても使われます。

日本でも楽しめる「ブション・リヨネ(リヨンのブション)」

「ブション」という言葉は、フレンチレストランやビストロの店名として日本でもよく使われています。代表的なのが「ル・ブション(Le Bouchon)」や「ブション・リヨネ(Bouchon Lyonnais)」といった名前です。

たとえば、東京都新宿区神楽坂にある「ルグドゥノム・ブション・リヨネ」は、本格的なリヨンの郷土料理を楽しめる名店として知られています。このほかにも、京都、名古屋、仙台、浦和、藤沢、浜町、瑞浪など、全国各地に「ブション」を冠したフレンチレストランが存在します。

  • ルグドゥノム・ブション・リヨネ(東京・神楽坂):ミシュランの星も獲得したことのある、本格的なリヨン料理店。
  • ル・ブション:京都や浜町など、カジュアルに美味しいフレンチとワインを楽しめるお店として各地で親しまれています。

各言語での「ブショネ」の表現

ちなみに「ブショネ」はフランス語由来の言葉ですが、英語やイタリア語でも同様の現象を指す言葉があります。レストラン(ブション)などで海外のワインを楽しむ際の豆知識として覚えておくと便利です。

フランス語
ブショネ(Bouchonné)または、グー・ド・ブション(Goût de bouchon:コルクの味)
英語
コルクト(Corked)
イタリア語
サ・ディ・タッポ(Sa di tappo:コルクの匂いがする)

ワイン愛好家の間で「ブショネ」は避けたいトラブルですが、「ブション」は美味しい料理とワインを気軽に楽しむ素敵な空間を意味します。言葉は似ていますが、レストランの「ブション」を訪れた際は、ぜひ美味しいワインと郷土料理を心ゆくまで堪能してください。

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