マルサラワインとは?イタリア・シチリア島が誇る酒精強化ワインの特徴と味
シチリア島の太陽が生んだ「マルサラワイン」の正体
マルサラワインとは、イタリアのシチリア島西端に位置する港町「マルサラ」周辺で生産される酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)の一種です。1969年にイタリアで最初のD.O.C.(原産地統制呼称)認定を受けた歴史あるワインであり、その芳醇な香りと独特のコクは世界中の美食家を魅了しています。
日本ではティラミスなどのドルチェや、肉料理のソースに使われる「料理酒」としてのイメージが強いかもしれませんが、本来は食前酒や食後酒としてそのまま楽しめる、非常に奥深い味わいを持つ銘酒です。
酒精強化ワインとしての特徴と製法
一般的なスティルワインとの最大の違いは、その製法にあります。マルサラワインは、醸造工程の途中でブランデーやワイン蒸留酒などを添加し、アルコール度数を17度〜20度程度まで高めて造られます。この工程を「酒精強化」と呼びます。
この製法は18世紀後半、イギリス人の貿易商ジョン・ウッドハウスが、シチリアのワインをイギリスへ輸送する際、長い船旅での劣化を防ぐためにアルコールを添加したことが始まりとされています。ポルトガルの「ポートワイン」「マデラワイン」、スペインの「シェリー酒」と並び、世界的に有名な酒精強化ワインの一つとして数えられます。
芳醇な香りと複雑な味わい
マルサラワインの味や香りは、使用するブドウ品種、熟成期間、そして甘味の度合いによって多彩に変化します。共通している特徴は、熟成由来のキャラメル、ナッツ、ドライフルーツ、バニラ、蜂蜜などを思わせる複雑でリッチなアロマです。
色は熟成の度合いやブドウの種類により、美しい琥珀色(アンブラ)、黄金色(オーロ)、鮮やかなルビー色(ルビーノ)などに分かれます。また、味わいも甘口から辛口まで幅広く、用途に合わせて以下のように分類されます。
- セッコ(Secco):残糖分が40g/L以下の辛口。キリッとした味わいで食前酒や魚介料理、さっぱりとしたソース作りに適しています。
- セミセッコ(Semisecco):残糖分が40g〜100g/Lの半甘口。程よい甘みがあり、チーズとのペアリングや肉料理のコク出しに最適です。
- ドルチェ(Dolce):残糖分が100g/L以上の甘口。デザートワインとして楽しむほか、本格的なティラミス作りには欠かせない存在です。
このように、マルサラワインは単なる料理の材料という枠を超え、シチリアの風土と歴史が凝縮された多様性のあるワインなのです。
【レシピ付】肉料理が劇的に変わる「マルサラソース」の作り方と活用法
レストランの味を再現!マルサラソースとは
イタリア料理、特にシチリア料理で頻繁に登場するマルサラソースは、酒精強化ワインである「マルサラワイン」を煮詰めて作るソースのことです。加熱することでアルコールが飛び、ブドウ由来の凝縮された甘みとコク、そして熟成された樽の香りが残ります。
このソースは、豚肉や鶏肉といった比較的淡白な味わいの肉料理と非常に相性が良く、いつものソテーにかけるだけで一気に高級感のある一皿に仕上がります。「マルサラワインソースとは何か」と疑問に思う方も多いですが、基本的には肉を焼いた後の旨味が残るフライパンでワインを煮詰めて作るシンプルなソースです。
【基本レシピ】豚肉や鶏肉に合うマルサラソースの作り方
ここでは、家庭でも簡単に作れる基本のマルサラソースのレシピをご紹介します。一般的に料理用としては、甘みとコクのバランスが良い「セミセッコ(半甘口)」や「フィーネ(熟成1年)」クラスのマルサラワインが使いやすくおすすめです。
【材料(2人分)】
- マルサラワイン:80ml〜100ml
- バター:10g
- 小麦粉(肉にまぶす用):適量
- 塩・コショウ:少々
- ブイヨンまたはコンソメ(お好みで):少々
【作り方】
- 豚ロース肉や鶏むね肉などを叩いて薄く伸ばし、塩コショウをして小麦粉を薄くまぶします。
- オリーブオイルを熱したフライパンで肉をソテーし、火が通ったら一度お皿に取り出します。
- 肉の旨味が残ったそのままのフライパンにマルサラワインを注ぎ入れます。
- 強火にかけてアルコールを飛ばしながら、木べら等でフライパンの底についた旨味(焦げ目)をこそげ落とすように混ぜます。
- ワインが半量程度になるまで煮詰め、とろみが出てきたらバターを加えて溶かし、ソースを乳化させます。
- 味を見て塩で調え、取り出しておいた肉を戻し入れてソースをサッと絡めれば完成です。
マルサラソースを美味しく仕上げるコツと活用法
マルサラソースの最大の魅力は、その芳醇な香りと深いコクにあります。より本格的な味に仕上げたい場合は、煮詰める段階で少量のフォンドヴォーを足したり、仕上げに生クリームを少し加えたりすると、より濃厚でリッチな味わいになります。
定番の活用法としては、イタリアの代表的な家庭料理「スカロッピーネ(薄切り肉のソテー)」が有名ですが、ハンバーグのソースとしても絶品です。また、キノコ類とも相性が抜群なため、マッシュルームやポルチーニ茸を一緒に炒めてソースに加えると、香りがさらに引き立ちます。
もし手元にマルサラワインがない場合は、赤ワインにブランデーと少量の砂糖を加えて代用することも可能ですが、やはり本物のマルサラワインが持つ独特の熟成香(キャラメルやナッツのようなニュアンス)は格別です。ぜひ一度、本場のマルサラワインを使って、家庭の肉料理を劇的に変える体験をしてみてください。
お菓子作りにも必須!ティラミスに使われるマルサラワインの役割
本場のティラミスに欠かせない芳醇な香り
イタリアの代表的なドルチェ「ティラミス」において、マルサラワインは単なる香り付け以上の重要な役割を担っています。マスカルポーネチーズの濃厚なコクに、マルサラワイン特有の熟成された甘みと香ばしい風味が加わることで、味が引き締まり、奥行きのある大人のデザートへと昇華されます。
日本ではラム酒やブランデーで代用されることも多いですが、シチリア島発祥の伝統的なレシピではマルサラワインを使用するのが正統派です。その独特な風味は、ティラミスを「ただの甘いチーズケーキ」から「イタリアの伝統菓子」へと変える魔法のような存在と言えるでしょう。
クリームの決め手となる「ザバイオーネ」
ティラミスの味の核となるクリーム部分は、一般的に卵黄と砂糖、そしてマルサラワインを湯煎にかけて泡立てた「ザバイオーネ(Zabaglione)」というカスタードソースの一種をベースに、マスカルポーネを混ぜ合わせて作られます。
この工程でマルサラワインを加えることにより、以下のような効果が生まれます。
- 卵特有の生臭さを消す
- キャラメルやナッツ、ドライフルーツを思わせる複雑な風味を加える
- クリーム全体にリッチなコクとまろやかさを与える
加熱することでアルコール分はある程度飛びますが、芳醇な香りはしっかりと残ります。これが、口に入れた瞬間に広がるティラミス独特の風味の正体です。
製菓用に選ぶなら「ドルチェ」か「セミセッコ」
マルサラワインには甘さの段階(残糖度)によって種類が分かれていますが、ティラミスなどのお菓子作りには甘口のタイプが適しています。
- ドルチェ(Dolce)
- 残糖度が高く(1リットルあたり100g以上)、しっかりとした甘みがあるタイプです。デザート作りや、食後酒としてそのまま飲むのにも適しています。製菓用として有名な「ルクサルド マルサラワイン ドルチェ」などは、プロのパティシエも愛用する信頼の銘柄です。
- セミセッコ(Semisecco)
- 半甘口タイプです。甘すぎず、素材の味を活かしたバランスの良い仕上がりになります。料理のソース作りとお菓子の両方に使い回したい場合にも便利です。
辛口の「セッコ(Secco)」を使用する場合は、砂糖の量を調整するなどの工夫が必要です。自宅で本格的なティラミスを作る際は、ぜひ甘口のマルサラワインを選んでみてください。
マルサラワインはどこで買える?カルディやスーパーでの取り扱いと値段
カルディや成城石井など身近な店舗での入手可能性
ティラミス作りや肉料理のソースに欠かせないマルサラワインですが、一般的な調味料のようにどこのスーパーでも売っているわけではありません。まずは身近な輸入食品店や高級スーパーをチェックしてみましょう。
- カルディコーヒーファーム
- 「マルサラワインといえばカルディ」と検索されることも多く、比較的入手しやすい店舗の筆頭です。特に料理用やお菓子作りに使いやすい「マルサラ フィーネ」などの銘柄が置かれていることが多く、店舗によっては1,000円台後半から2,000円程度で購入可能です。ただし、全店舗で在庫があるわけではないため、事前に確認することをおすすめします。
- 成城石井・明治屋・紀ノ国屋
- 輸入食材に強い高級スーパーでも取り扱っている可能性があります。特に成城石井では、イタリアワインのコーナーや製菓材料の近くに陳列されていることがあります。
- 一般的なスーパーマーケット
- 残念ながら、一般的な街のスーパーではあまり見かけません。大型店舗のリカーコーナーであれば、稀に置かれていることもあります。
やまや・エノテカなど酒専門店での取り扱い
より確実に手に入れたい場合や、種類を選びたい場合は、お酒の専門店へ足を運ぶのが確実です。
- やまや:輸入酒の品揃えが豊富な「やまや」では、マルサラワインも見つけやすい傾向にあります。トソ社のマルサラなど、定番の商品が並んでいることが多いです。
- エノテカ:ワイン専門店のエノテカでは、品質の高いマルサラワインを取り扱っていることがあります。料理用だけでなく、食後酒として楽しめる熟成期間の長いもの(スペリオーレなど)を探している場合にも適しています。
- ネット通販:近くに店舗がない場合は、Amazonや楽天市場などのネット通販が最も確実です。「ルクサルド」や「フローリオ」といった有名メーカーの商品を比較して購入できます。
マルサラワインの値段・価格相場
マルサラワインの値段は、熟成期間やタイプによって異なります。料理用として購入するのか、飲用として楽しむのかによって予算を決めると良いでしょう。
| 種類・用途 | 価格相場(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 料理・製菓用(フィーネなど) | 1,500円 〜 2,500円 | ティラミスやソース作りに最適。熟成期間が短く(1年程度)、手頃な価格帯。 |
| 飲用・贈答用(スペリオーレ以上) | 3,000円 〜 5,000円以上 | 熟成期間が長く(2年以上)、複雑な香りと味わいが楽しめる。食後酒におすすめ。 |
初めて購入する場合は、2,000円前後のボトルを選ぶと、料理にも飲用にも使いやすく失敗が少ないでしょう。
マルサラワインがない時の代用は?家にある調味料で再現する方法
マルサラワインを使いたいけれど手元にない、近くのスーパーやカルディでも売り切れていた、という場合でも諦める必要はありません。マルサラワイン独特の「熟成されたコク」と「甘み」を意識することで、家にある調味料や他のお酒を使って代用することが可能です。
ここでは、料理(ソース・煮込み)とお菓子(ティラミス)の用途別に、おすすめの代用アイデアを紹介します。
料理(肉料理・ソース)に使う場合の代用レシピ
ポークソテーやチキンソテーにかける「マルサラソース」や煮込み料理を作る際は、ベースとなるお酒に甘みとコクを足すのがポイントです。家に常備してある調味料で再現してみましょう。
- 赤ワイン + 砂糖(またはハチミツ)
- 最も手軽な代用方法です。赤ワインのタンニン(渋み)に甘さを加えることで、マルサラワインの濃厚なボディ感に近づけます。割合は「赤ワイン大さじ2:砂糖小さじ1」程度を目安に、煮詰めながら調整してください。
- 白ワイン + ブランデー + 砂糖
- マルサラワインは白ブドウから作られることが多いため、ベースを白ワインにし、ブランデーでアルコール度数と熟成香(樽の香り)を、砂糖で甘みを補うこの組み合わせは、風味の再現度が高い方法です。
- 日本酒 + バルサミコ酢
- ワインがない場合、日本酒に少量のバルサミコ酢を加えると、独特の酸味と熟成感が加わり、意外にも良い代用として機能します。
お菓子作り(ティラミスなど)に使う場合の代用
ティラミスなどのスイーツにマルサラワインを使う場合、その役割は「芳醇な香りづけ」です。料理用とは異なり、風味の方向性に合わせて以下の洋酒を選ぶのがおすすめです。
- ブランデー(コニャック):ブドウ原料の蒸留酒なので相性が良く、高級感のある大人な味わいになります。
- ダークラム:サトウキビ由来の甘い香りが特徴で、スイーツとの相性は抜群です。
- コーヒーリキュール:ティラミスの場合、エスプレッソの苦味と馴染みやすく、失敗が少ない代用品です。
ポートワインやマデラワインとの違いと互換性
「マルサラ酒とポートワインの違いは何?」とよく疑問を持たれますが、これらは産地やブドウ品種が異なるものの、同じ酒精強化ワインの仲間です。もし自宅にこれらが残っている場合は、調味料を混ぜ合わせるよりも、そのまま代用するのがベストです。
| 種類 | 特徴と代用のポイント |
|---|---|
| マデラワイン | 加熱熟成による香ばしさがあり、マルサラワインに最も風味が近いです。料理・お菓子問わず優秀な代用品になります。 |
| ポートワイン | 甘みが強く、特に赤のポートワインは濃厚です。甘口(ドルチェ)のマルサラワインの代用として、ソースやデザートに向いています。 |
| シェリー酒 | 種類によりますが、甘口の「オロロソ」や極甘口の「ペドロ・ヒメネス」などは、コクのある代用として使えます。 |
代用品を使う際は、完全に同じ味にはならないため、料理であれば塩加減を、お菓子であれば砂糖の量を微調整しながら仕上げることをおすすめします。
甘口(ドルチェ)から辛口(セッコ)まで!マルサラワインの種類と選び方
好みに合わせて選ぶための3つの基準:「甘さ」「色」「熟成」
マルサラワインを選ぶ際、ラベルに書かれているイタリア語の表記を理解しておくと、用途にぴったりの1本を見つけることができます。大きく分けて「甘辛度(残糖分)」「色」「熟成期間」の3つの分類があります。
1. 甘辛度(残糖分)による分類
料理に使うのか、デザートとして楽しむのかによって最も重要なのがこの甘さの区分です。
- Secco(セッコ):辛口
- 残糖分が1リットルあたり40g以下のもの。すっきりとしており、食前酒として飲んだり、鶏肉や豚肉のソテーなど料理用ソースを作る際に適しています。
- Semisecco(セミセッコ):半甘口
- 残糖分が40g~100gのもの。程よい甘みがあり、料理にもデザート作りにも幅広く使える万能タイプです。
- Dolce(ドルチェ):甘口
- 残糖分が100g以上のもの。濃厚な甘みがあり、ティラミス作りにはこのタイプが推奨されます。食後酒としてチョコレートやチーズと合わせるのにも最適です。「ルクサルド マルサラワイン ドルチェ」などが有名です。
2. 色による分類(白・赤の違い)
マルサラワインは、正式には以下の3色に分類されます。
- Oro(オーロ):黄金色。白ブドウから造られます。
- Ambra(アンブラ):琥珀色。白ブドウにモスト・コット(煮詰めたブドウ果汁)などを加えて造られるため、濃厚な色調と風味になります。
- Rubino(ルビーノ):ルビー色。黒ブドウから造られる、いわゆる赤ワインタイプです。
3. 熟成期間による格付け
熟成期間が長いほど風味は複雑になり、価格も上がります。
- Fine(フィーネ):1年以上の熟成。最もポピュラーで手頃なタイプ。「トソ マルサラ フィーネ」などはスーパーや酒屋でも見かけやすく、普段の料理用として重宝します。
- Superiore(スペリオーレ):2年以上の熟成。香りが豊かで、料理だけでなく飲用としても楽しめます。
- Superiore Riserva(スペリオーレ・リゼルヴァ):4年以上の熟成。
- Vergine(ヴェルジネ):5年以上の熟成。加糖を行わない辛口で、食通向けの高級品です。
【用途別】迷った時の選び方まとめ
種類が多くて迷ってしまう場合は、以下の表を参考にしてください。
| 用途 | おすすめのタイプ | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| 肉料理のソース | セッコ(辛口) フィーネまたはスペリオーレ | 甘すぎない「Secco」を選ぶと、肉の旨味を引き立てる本格的なソースになります。色はアンブラが一般的です。 |
| ティラミス・お菓子 | ドルチェ(甘口) フィーネ | しっかりと甘い「Dolce」を使うことで、卵黄やマスカルポーネの風味に負けないリッチな味わいになります。 |
| そのまま飲む | スペリオーレ以上 (甘さはお好みで) | 熟成期間が長いものほど、アルコールの角が取れてまろやかになります。食後酒ならドルチェ、食前酒ならセッコがおすすめです。 |
料理だけじゃない!マルサラワインのおいしい飲み方・カクテル
マルサラワインは、ティラミスや肉料理のソースなど「料理用」として使われることが多いですが、本来はシェリー酒やポートワインと同じく、そのまま飲んでも非常に美味しい「酒精強化ワイン」です。熟成された芳醇な香りとコクは、食前酒や食後酒として贅沢な時間を提供してくれます。ここでは、料理に使うだけではもったいない、マルサラワイン本来の味わい方とアレンジカクテルをご紹介します。
食前酒(アペリティフ)には「辛口」をキリッと冷やして
食欲を増進させる食前酒として楽しむなら、辛口(セッコ)や半甘口(セミセッコ)のタイプがおすすめです。冷蔵庫でしっかりと冷やすことで、独特のナッツのような香ばしさとドライな味わいが引き立ち、食事のスタートを華やかに演出します。
- 温度とグラス:冷蔵庫で10℃〜12℃程度に冷やし、小ぶりのワイングラスやシェリーグラスでストレートで楽しみます。
- おつまみ:パルミジャーノ・レッジャーノなどの熟成ハードチーズ、塩気のあるオリーブ、生ハムとの相性が抜群です。
食後酒(ディジェスティフ)には「甘口」をゆっくりと
食後のリラックスタイムには、甘口(ドルチェ)タイプや、熟成期間の長い上質なものが最適です。濃厚な甘みと複雑な風味が、デザート代わりにもなります。
- 温度とグラス:常温(16℃〜18℃)または軽く冷やして、香りを楽しみながら少しずつ味わいます。
- ペアリング:カカオ分が高いダークチョコレート、ドライフルーツ(イチジクやレーズン)、ローストしたアーモンドなどのナッツ類と合わせると、互いの風味が引き立ちます。
マルサラワインを使った簡単カクテルレシピ
「ストレートでは少しアルコール度数が高い」「クセがある」と感じる場合や、より軽やかに楽しみたい場合は、カクテルにするのもおすすめです。自宅にある材料で簡単に作れるアレンジをご紹介します。
- マルサラ・トニック
- マルサラワイン(辛口または半甘口)とトニックウォーターを1:2の割合で氷を入れたグラスに注ぎ、軽くステアします。レモンやライムのスライスを添えれば、爽やかで夏場にもぴったりの一杯になります。
- マルサラ・サンセット
- マルサラワインとオレンジジュースを合わせるだけのシンプルなカクテルです。甘口のマルサラを使うと、よりフルーティーでジュースのように飲みやすい味わいになり、お酒が強くない方にもおすすめです。
- マルサラ・ロワイヤル
- 冷やしたスパークリングワイン(プロセッコなど)に、少量のマルサラワインを加えます。いつものスパークリングワインに熟成感とコクがプラスされ、上品な大人のカクテルに変身します。
このように、マルサラワインは「飲む」ワインとしても非常に優秀です。料理用に購入して余ってしまった場合も、ぜひグラスに注いでシチリアの風を感じてみてください。
ウイスキーファンも注目する「マルサラワイン樽(カスク)」とは
マルサラカスクが生み出す独特の風味
近年、ウイスキー愛好家の間で「マルサラワイン樽(カスク)」を使用した銘柄が熱い視線を浴びています。これは、シチリア島の酒精強化ワインであるマルサラワインの熟成に使用された空き樽を、ウイスキーの熟成(主に後熟・フィニッシュ)に再利用したものです。
通常、ウイスキーはバーボン樽やシェリー樽で熟成されることが多いですが、マルサラカスクを使用することで、マルサラワイン特有の凝縮された甘み、ドライフルーツのような香り、そしてナッツやスパイスのニュアンスがウイスキーに付与されます。これにより、原酒の個性とは異なる複雑なレイヤーが重なり、奥行きのある味わいが生まれます。
ウイスキーファンを魅了する味わいの特徴
マルサラワイン樽で熟成されたウイスキーは、一般的なものとは一味違う個性的な風味を持ちます。具体的には以下のような特徴が挙げられます。
- フルーティーな甘み: アプリコットやレーズン、煮詰めた果実のような濃厚な甘みが加わります。
- スパイシーさとコク: マルサラワイン由来のタンニンやオークの香りが、ウイスキーに深みと心地よい渋みを与えます。
- 美しい色合い: 「マルサラワインレッド」とも表現されるような、赤みがかった深みのある琥珀色が楽しめます。
注目の銘柄:アランや桜尾など
キーワードリストにもある通り、実際にマルサラカスクを使用したウイスキーはいくつかリリースされており、即完売することもある人気ジャンルです。
- アラン 2012 マルサラ ワイン カスク
- スコットランドのアラン蒸溜所からリリースされた限定品などは特に有名です。マルサラカスク由来の甘いフルーツの香りと、アランモルト特有の柑橘系の風味が絶妙にマッチした一本として知られています。
- 桜尾 シングル モルト マルサラ ワイン カスク
- 日本の広島県にある桜尾蒸留所が手掛けるジャパニーズウイスキーでも採用されています。瀬戸内の環境で熟成された原酒をマルサラ樽でフィニッシュさせることで、リッチでまろやかな味わいを実現しています。
このように、マルサラワインは料理やお菓子作りだけでなく、ウイスキーという全く別のジャンルにおいても、その芳醇な個性を発揮し、多くのファンを楽しませています。
マルサラワインに関するよくある質問(賞味期限・保存方法・ポートワインとの違い)
開封後のマルサラワインの賞味期限と保存方法
マルサラワインは、醸造工程でアルコールを添加して度数を高めた「酒精強化ワイン」の一種です。一般的なワインよりもアルコール度数が高く(17度〜20度前後)、酸化に対して強いという特徴があります。
そのため、一度開栓してしまっても、通常のスティルワインのように数日で飲みきらなければならないということはありません。保存状態が良ければ、比較的長く楽しむことができます。
- 未開封の場合
- 直射日光の当たらない冷暗所であれば、数年から10年以上長期保存が可能です。熟成による変化を楽しむこともできます。
- 開封後の場合
- しっかりと栓をして冷蔵庫(または冷暗所)で保管しましょう。飲用として香りや味を楽しむなら1ヶ月〜3ヶ月程度、料理用として使うなら半年〜1年程度が目安となります。
ただし、空気に触れることで少しずつ酸化は進み、香りが飛んでしまいます。特に繊細な「マルサラ・ヴェルジーネ」などの高級ラインは、開栓後早めに楽しむことをおすすめします。
ポートワインやマデイラワインとの違いは?
マルサラワインと同じく「酒精強化ワイン」として有名なのが、ポルトガルの「ポートワイン」や「マデイラワイン」、スペインの「シェリー酒」です。これらは世界三大酒精強化ワインと呼ばれることもありますが、マルサラワインもこれらに並ぶ歴史と知名度を持っています。
それぞれの違いを理解しておくと、料理や好みに合わせて使い分けることができます。
| 種類 | 産地 | 特徴・主な用途 |
|---|---|---|
| マルサラワイン | イタリア(シチリア島) | ブドウ果汁を煮詰めた「モスト・コット」等を加える製法があり、カラメルやバニラのような独特の香ばしさがある。ティラミスや肉料理のソースに必須。 |
| ポートワイン | ポルトガル(ドウロ地方) | 発酵途中でブランデーを加えて糖分を残すため、濃厚な甘口が多い。「ポルトガルの宝石」と呼ばれ、食後酒として人気。 |
| マデイラワイン | ポルトガル(マデイラ島) | 加熱熟成させる独特の製法で作られ、独特の香ばしい風味がある。ソース作りにも使われるが、マルサラとは風味が異なる。 |
「マルサラ酒とポートワインの違い」についてよく質問されますが、最大の違いは「産地」と「風味の方向性」です。マルサラは独特の熟成香と複雑味があり、特にイタリア料理のドルチェやメインディッシュの隠し味として代えがたい役割を持っています。
マルサラワインは「赤」それとも「白」?色の秘密
ワイン売り場でマルサラワインを探す際、「赤ワインなのか白ワインなのか分からない」と迷うことがあるかもしれません。
基本的にマルサラワインの多くは、グリッロ、カタラットといった白ブドウを原料として造られます。しかし、熟成の過程や、モスト・コット(煮詰めた果汁)の添加によって、美しい琥珀色や褐色へと変化します。
マルサラワインは色によって以下の3つに分類されます。
- オーロ(Oro):黄金色。白ブドウを使用し、モスト・コットを添加しないタイプ。
- アンブラ(Ambra):琥珀色。白ブドウを使用し、モスト・コットを添加して甘みと色を加えたタイプ。最も一般的です。
- ルビーノ(Rubino):ルビー色。ペリコーネやネロ・ダヴォラなどの黒ブドウを使用して造られる赤ワインタイプ。
一般的に「マルサラワインレッド」と呼ばれる深い赤褐色は、アンブラやルビーノの色合いを指すことが多いです。料理に使う場合は、レシピに指定がなければ入手しやすい「アンブラ」を選ぶのが無難ですが、飲む場合は好みの色と味わいで選んでみてください。