中国ワインの現在地|世界が驚く「中国産ワイン」の急成長と評価
かつては「安価で大量生産」というイメージを持たれることもあった中国ワインですが、ここ数年でその評価は劇的に変化しています。現在、中国は世界が注目するワイン大国へと成長を遂げ、国際的なコンクールでも数多くの賞を受賞するようになりました。本章では、なぜ今「中国産ワイン」が世界中の愛好家やソムリエを驚かせているのか、その現在地と急成長の背景について解説します。
世界的なワインコンクールでの高評価とLVMHの進出
中国ワインの品質向上を如実に物語っているのが、海外資本の積極的な参入と国際的な評価です。特に世界を驚かせたのが、ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)グループによる雲南省でのプロジェクト「アオユン(Ao Yun)」です。
ヒマラヤ山脈の麓、標高2,000メートルを超える過酷な環境で造られるこのワインは、1本数万円という価格帯ながら世界中で絶賛され、「中国ワイン=高級・高品質」という新たな常識を決定づけました。また、ボルドーの五大シャトーであるラフィット・ロートシルトも山東省にワイナリー(ロンダイ)を設立するなど、世界のトッププロが中国のテロワール(風土)に大きな可能性を見出しています。
「量」から「質」への転換とプレミアム化
かつて中国はワイン生産量で世界トップクラスを目指していましたが、現在は生産量を絞り、より高品質なブドウ栽培とワイン造りへとシフトしています。特に「東洋のボルドー」とも呼ばれる寧夏(ニンシア)回族自治区をはじめ、山東省、雲南省などの産地では、徹底した品質管理が行われています。
中国ワインの評価が急上昇している主な要因は以下の通りです。
- 恵まれた気候条件:乾燥した気候や長い日照時間など、欧州の銘醸地に匹敵する栽培環境の開拓。
- 最新技術の導入:海外から著名な醸造家を招聘し、最新の設備と技術を積極的に導入。
- 若手醸造家の台頭:フランスやオーストラリアで修行を積んだ中国人醸造家が帰国し、シルバーハイツのような家族経営のブティックワイナリーで個性的なワインを醸造。
なぜ中国ワインは「高い」のか?市場の現状
「中国産なら安いはず」と思って探してみると、その価格の高さに驚くかもしれません。現在の中国ワイン市場では、低価格帯よりもプレミアムワインやラグジュアリーワインが注目を集めています。
- 手作業によるコスト増
- 中国の主要産地(特に内陸部)では冬の寒さが厳しく、ブドウの樹が凍死しないよう、冬の間は土の中に樹を埋める「埋土(まいど)」という作業が必要です。春にはまた掘り起こす必要があり、この膨大な手作業による人件費が価格に反映されています。
- 設備投資と関税
- 急速な品質向上のために行われた莫大な設備投資や、輸入ワインに対抗するためのブランディング戦略も、価格設定に影響しています。
このように、現在の中国ワインは単なる「安酒」ではなく、世界の銘醸ワインと肩を並べる高級な嗜好品としての地位を確立しつつあります。国内でも「国潮(グオチャオ)」と呼ばれる自国製品ブームにより、若者や富裕層を中心に人気が高まっています。
【基礎知識】「ワイン」は中国語で何と言う?赤・白・スパークリングの発音と表記
基本単語:「ワイン」は中国語で「葡萄酒」
中国語でワインは「葡萄酒(Pútáojiǔ / プータオジウ)」と言います。文字通り「葡萄(ブドウ)」の「酒」という意味です。日本と同じ漢字を使うため、日本人には非常に馴染みやすい単語ですが、発音には少しコツがいります。
特に「酒(jiǔ)」の発音は、カタカナの「ジウ」と「ジョウ」の中間のような音になります。レストランやショップで注文する際は、この単語を覚えておくとスムーズです。
種類別:赤・白・スパークリングの表記と発音
ワインの種類を指定する際は、色の名前や製法を頭につけます。主要な種類の中国語表記とピンイン、カタカナ読みの目安をまとめました。
| 日本語 | 中国語(簡体字) | ピンイン | 発音イメージ |
|---|---|---|---|
| 赤ワイン | 红葡萄酒 | Hóng pútáojiǔ | ホンプータオジウ |
| 白ワイン | 白葡萄酒 | Bái pútáojiǔ | バイプータオジウ |
| ロゼワイン | 桃红葡萄酒 | Táohóng pútáojiǔ | タオホンプータオジウ |
| スパークリングワイン | 起泡酒 | Qǐpàojiǔ | チーパオジウ |
| 貴腐ワイン | 贵腐酒 | Guìfǔjiǔ | グイフージウ |
一般的に「赤ワイン(红酒 / Hóngjiǔ)」と略して呼ぶことも多く、日常会話ではこちらの方が頻繁に使われます。一方で、白ワインを「白酒(Báijiǔ)」と略す際は注意が必要です。中国で「白酒(バイジュウ)」と言うと、マオタイ酒などに代表されるアルコール度数の高い蒸留酒を指すことが一般的だからです。誤解を避けるため、白ワインは省略せずに「白葡萄酒」と言うのが無難です。
ワイングラスやオープナーなど関連用語
ワインを楽しむための道具や、色に関する表現も覚えておくと便利です。現地のレストランで役立つ単語をリストアップしました。
- ワイングラス
- 高脚杯(Gāojiǎobēi / ガオジャオベイ)または 酒杯(Jiǔbēi / ジウベイ)。「足の高い杯」という表現が使われます。
- ワインオープナー
- 开瓶器(Kāipíngqì / カイピンチー)。「瓶を開ける器具」という意味です。
- ワインセラー
- 酒柜(Jiǔguì / ジウグイ)。レストランでワインリストを見たいときは「酒单(Jiǔdān / ジウダン)」と頼みます。
- ワインレッド
- 酒红色(Jiǔhóngsè / ジウホンスー)。色の表現としてファッションなどでも使われます。「ワインレッドの心」のような比喩表現でも通じる色味です。
台湾や地域による表記の違い
中国大陸では簡体字が使われますが、台湾や香港では繁体字が使用されます。「ワイン」の表記自体は「葡萄酒」で変わりませんが、画数の多い漢字が使われることがあります。
- 簡体字(大陸):红酒(赤ワイン)、起泡酒(スパークリング)
- 繁体字(台湾・香港):紅酒、氣泡酒
台湾でも赤ワインは一般的に「紅酒」と呼ばれます。発音(ピンイン)は基本的に共通していますが、地域によってアクセントや好まれる言い回しが異なる場合があります。現地でワインを探す際は、これらの漢字を探してみてください。
中国ワインの主要産地|「東洋のボルドー」寧夏(ニンシア)の実力
急速に拡大する中国ワインの産地マップ
中国は広大な国土を持っていますが、ワイン用ブドウの栽培に適した地域は主に北緯30度から45度の間に集中しており、いわゆる「ワインベルト」と呼ばれる地帯に点在しています。中国ワインの産地は、東部の湿潤な海岸沿いから内陸の乾燥した砂漠地帯、さらには南西部の高山地帯まで広がっており、地域ごとに全く異なる気候風土(テロワール)を持っているのが特徴です。
かつては「質より量」の生産が主流でしたが、近年ではテロワールを重視した小規模なワイナリーが増加し、世界的な評価が急上昇しています。その中心にいるのが、次に紹介する寧夏回族自治区です。
「東洋のボルドー」と称される寧夏(ニンシア)の実力
現在、中国ワインの品質向上を最も牽引しているのが、内陸部に位置する寧夏回族自治区(ニンシア)です。特に「賀蘭山(ガラン山)東麓」エリアは、政府の強力なバックアップもあり、中国におけるプレミアムワインの聖地となっています。
この地域はしばしば「東洋のボルドー」と形容されますが、実際の気候条件はフランスのボルドーとは大きく異なります。寧夏のワイン造りには以下のような際立った特徴があります。
- 極度の乾燥と大陸性気候:年間降水量が200mm程度と非常に少なく乾燥しているため、病害のリスクが低く、有機栽培やビオディナミに取り組みやすい環境です。
- 激しい寒暖差:標高約1,100m前後の高地に位置し、昼夜の寒暖差が激しいため、糖度が高く、かつ酸味もしっかりとした凝縮感のあるブドウが育ちます。
- 冬の「埋土」作業:冬はマイナス20度を下回る極寒の地となるため、ブドウの樹が凍死しないよう、冬の間はすべての樹を土の中に埋めるという、中国北部の産地特有の重労働が必要不可欠です。
この過酷ながらも恵まれた環境から、「シルバー ハイツ(Silver Heights)」のような世界的に評価されるワイナリーが登場し、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種で最高品質のワインを生み出しています。
山東省・新疆・雲南省など多様なテロワール
寧夏以外にも、中国には個性豊かなワイン産地が存在します。それぞれの地域の気候や特徴を知ることで、中国ワインの多様性が見えてきます。
- 山東省(煙台など)
- 中国最大のワイン生産量を誇る、最も歴史ある近代ワインの産地です。海に面した海洋性気候で湿度があり、比較的温暖です。中国最古かつ最大のワインメーカー「チャンユー(張裕)」の本拠地があり、白ワインやスパークリングワインの生産も盛んです。
- 新疆ウイグル自治区
- かつてのシルクロードに位置するこの地域は、日照時間が非常に長く乾燥しており、糖度の高い完熟したブドウが育ちます。広大な土地を生かした大規模栽培が行われており、マスカットなどの生食用ブドウの産地としても有名です。
- 雲南省(シャングリラなど)
- ヒマラヤ山脈の麓、標高2,200m〜2,600mという超高地にブドウ畑が広がっています。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が手掛ける1本数万円の高級ワイン「アオユン(Ao Yun)」が造られていることで世界的な注目を集めました。冷涼な気候を生かした、エレガントで長い余韻を持つワインが特徴です。
なぜ「中国ワイン」は高級なのか?アオユンなど世界が認める品質と価格の秘密
世界を驚かせた「アオユン(Ao Yun)」とLVMHの挑戦
かつて中国産ワインといえば「安価な大衆酒」というイメージがありましたが、現在はその認識を覆す高級ワインが次々と誕生しています。その象徴とも言えるのが、高級ブランドグループLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が手掛ける「アオユン(Ao Yun / 敖雲)」です。
アオユンは、中国南西部の雲南省、ヒマラヤ山脈の麓にあるシャングリラ(香格里拉)で造られています。標高2,000メートルを超える過酷な環境で栽培されるカベルネ・ソーヴィニヨンなどは、類まれな凝縮感とエレガンスを持ち、リリース直後から世界中のワイン愛好家や評論家に衝撃を与えました。1本あたり数万円からという価格設定は、中国ワインが世界のグラン・ヴァン(偉大なワイン)と肩を並べたことを証明しています。
名門ラフィットも進出!海外資本による技術革新
LVMHだけでなく、フランス・ボルドーの五大シャトー筆頭である「シャトー・ラフィット・ロートシルト」を擁するドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(DBR)も中国に進出しています。彼らが山東省蓬莱で手掛けるワイナリー「ロンダイ(Long Dai / 瓏岱)」は、10年以上の歳月をかけて土壌調査を行い、中国のテロワール(風土)とフランスの醸造技術を融合させたプレミアムワインを生み出しました。
こうした世界的な名門ワイナリーの参入は、中国ワインの品質を一気に引き上げると同時に、ブランド価値と価格を高める大きな要因となっています。
なぜ中国ワインは「高い」のか?製造コストと環境の秘密
中国の高級ワインが高価格になる背景には、単なるブランド料だけでなく、中国特有の栽培環境とコストの問題があります。特に以下の要因が価格に大きく影響しています。
- 過酷な気候への対策コスト
- 主要産地である寧夏(ニンシア)回族自治区などは、冬の寒さが非常に厳しく、気温がマイナス20度を下回ることもあります。ブドウの木が凍死するのを防ぐため、冬の間はすべての木を土の中に埋め、春になると掘り起こすという、世界でも稀な重労働が必要です。この膨大な人件費と管理コストがワインの価格に反映されています。
- 徹底した収量制限と手作業
- アオユンのような山岳地帯の畑では機械が入ることができないため、全ての作業が手作業で行われます。また、世界的な評価を得る品質を維持するためにブドウの収穫量を厳しく制限しており、生産量が少なく希少性が高まります。
- 最新設備の導入コスト
- 世界最高水準のワインを造るため、醸造設備や熟成用のオーク樽などを海外から輸入するケースが多く、これらにかかる関税や輸送費もコスト増の一因となっています。
このように、中国の高級ワインは「厳しい自然環境を克服するためのコスト」と「世界基準の品質追求」が組み合わさることで、高価格帯での取引が主流となっているのです。
中国ワインの歴史と市場規模|生産量・消費量は世界トップクラス
古代のロマンから近代産業へ:中国ワインの歴史
「中国ワイン」と聞くと、近年になって急激に発展した新しい産業というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、その起源は非常に古く、古代中国まで遡ります。漢の時代、シルクロードを経由してブドウの種と醸造技術が西域から伝来したのが始まりとされています。
唐の時代の詩人・王翰が詠んだ「葡萄美酒夜光杯(葡萄の美酒を夜光の杯で)」という詩句からも、古くからワインが愛飲されていたことが分かります。ただし、当時のワインは宮廷や一部の特権階級のものであり、庶民に広く普及していたわけではありませんでした。
産業としての本格的なワイン造りが始まったのは、清朝末期の1892年です。山東省煙台に「張裕(チャンユー)」が設立されたことが、近代中国ワイン産業の幕開けとなりました。その後、1980年代の改革開放政策以降、経済成長とともに中国ワインブームが到来し、フランスやイタリアの技術を積極的に導入することで品質が飛躍的に向上しました。
生産量・消費量は世界トップクラスだが「急減」の現実も
現在、中国は世界有数のワイン大国としての地位を確立しています。ブドウ畑の栽培面積においてはスペイン、フランスに次ぐ世界規模を誇り、ワイン生産量ランキングでも常に上位(トップ10前後)に位置しています。
しかし、近年のデータを見ると、右肩上がりだった成長曲線に変化が生じています。実は、中国ワインの生産急減が業界内で注目されているのです。気候変動の影響や、海外からの安価な輸入ワインとの競争、さらには国内経済の調整局面などが要因とされています。
中国ワイン消費量についても同様に、世界トップクラスの巨大市場であることに変わりはありませんが、ピーク時に比べると落ち着きを見せています。以下は、近年の中国ワイン市場の動向をまとめた表です。
| 項目 | 近年の傾向と特徴 |
|---|---|
| 栽培面積 | 世界2位〜3位を維持。広大な国土を活かし、寧夏や新疆などで拡大。 |
| 生産量 | 2010年代半ばをピークに減少傾向。量より質への転換期にある。 |
| 消費量 | 世界トップ5圏内。贈答用から日常消費・愛好家向けへシフト。 |
「ワイン離れ」か「成熟」か?変化する市場トレンド
一部では「中国ワイン離れ」という言葉も囁かれていますが、これは単に人気がなくなったというよりは、市場の成熟化と捉えるべきでしょう。かつては「赤ワインであれば何でも良い」「メンツのための高級酒」という消費スタイルが主流でしたが、現在は消費者の知識が深まり、本当に美味しいワインや、自分の好みに合ったワインを選ぶ時代になっています。
また、中国ワイン市場では、若年層を中心に国産ワイン(国潮)を再評価する動きも見られます。生産量が減少する一方で、アオユン(Ao Yun)やシルバーハイツ(Silver Heights)のような世界的に評価されるプレミアムワインが登場しており、中国ワインは「大量生産・大量消費」のフェーズから、「高品質・高付加価値」を追求する新たな歴史のステージに入っていると言えます。
絶対に知っておきたい中国の有名ワインメーカー・ブランド(チャンユー・長城など)
中国ワイン界を牽引する2大巨頭「張裕」と「長城」
中国のワイン市場を語る上で、生産量と歴史の面で圧倒的な存在感を放つのが「張裕(チャンユー)」と「長城(グレート・ウォール)」です。中国国内のスーパーマーケットから高級レストランまで幅広く流通しており、中国ワインの代名詞とも言える存在です。
- 張裕(チャンユー / Changyu)
- 1892年に設立された中国最古かつアジア最大のワインメーカーです。山東省の煙台(エンタイ)を本拠地とし、ヨーロッパのブドウ品種をいち早く導入しました。「解百納(カベルネ)」シリーズは特に有名で、世界的なワインコンクールでも数多くの賞を受賞しています。手頃なテーブルワインから、贈答用の高級ラインまで幅広いラインナップを誇ります。
- 長城ワイン(グレート・ウォール / Great Wall)
- 中国糧油食品(COFCO)グループ傘下の国有ブランドです。北京オリンピックや上海万博などの公式ワインとして採用されるなど、「中国の国賓をもてなすワイン」としての地位を確立しています。河北省の沙城や山東省の煙台など、複数の産地にワイナリーを所有し、安定した品質のワインを大量に生産しています。
世界が絶賛するプレミアム・ブティックワイナリー
近年、世界のワイン愛好家やソムリエが熱い視線を送っているのが、小規模ながら驚くべき高品質なワインを生み出すプレミアムワイナリーです。特に「アオユン」や「シルバー・ハイツ」は、かつての「安価な中国ワイン」というイメージを覆す存在として知られています。
| ブランド名 | 特徴と評価 |
|---|---|
| アオユン(Ao Yun / 敖雲) | 高級ブランドグループLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が、雲南省の標高2,000mを超える秘境で造るスーパープレミアムワインです。「雲上のワイン」とも呼ばれ、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたその味わいは、ボルドーのグランヴァンに匹敵すると評価されています。価格も中国ワインとしては破格の高さですが、世界中で争奪戦が起きています。 |
| シルバー・ハイツ(Silver Heights / 銀色高地) | 中国随一の銘醸地である寧夏(ニンシア)を代表する家族経営のワイナリーです。ボルドーで修行した女性醸造家が手掛け、自然派に近い造りでテロワールを表現しています。国際的なワイン評論家からの評価が極めて高く、中国ワインの品質向上を象徴するブランドです。 |
海外名門ワイナリーとのジョイントベンチャー
中国のテロワール(風土)の可能性に注目した海外の名門が、中国国内に設立したワイナリーも要チェックです。
- ロンダイ(Domaine de Long Dai / 瓏岱)
ボルドーの五大シャトー筆頭である「シャトー・ラフィット・ロートシルト」を擁するドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(DBR)が、山東省蓬莱に設立したワイナリーです。10年以上の歳月をかけて土壌調査を行い、2019年に初ヴィンテージをリリースしました。フランスの技術と中国の風土が融合した傑作として知られています。
これらのメーカーやブランドを知っておくことで、中国ワイン選びの失敗を防げるだけでなく、その進化の過程をより深く味わうことができます。もしレストランのリストやショップでこれらの名前を見かけたら、ぜひ試してみてください。
中華料理とワインのペアリング|ナチュールワインや相性の良い組み合わせ
中華料理とワインを合わせる基本の法則
「中華料理には紹興酒やビール」というイメージが強いかもしれませんが、実は多彩な味わいを持つ中華料理は、ワインとのペアリングにおいて無限の可能性を秘めています。特に近年、中国料理とワインのマリアージュは世界中の美食家の間で注目されています。
ペアリングを成功させるための基本的なポイントは以下の3点です。
- 油分をカットする酸と泡:炒め物や揚げ物など油を多く使う料理には、口の中をさっぱりさせる酸味の強い白ワインやスパークリングワインが最適です。
- スパイスには果実味と甘み:唐辛子や花椒の刺激には、フルーティーなロゼワインや、ほんのり甘みのある白ワイン(リースリングなど)が痛みを和らげ調和します。
- 色の濃さで合わせる:醤油やオイスターソースを使った色の濃い料理には赤ワイン、塩味や海鮮中心の淡い色の料理には白ワインという基本原則は中華でも有効です。
「ナチュールワイン」や「オレンジワイン」が選ばれる理由
近年、中華料理店やソムリエの間で特に人気が高まっているのが、ナチュールワイン(ナチュラルワイン)やオレンジワインとの組み合わせです。
中華料理には、豆板醤、黒酢、醤油といった「発酵調味料」や、八角、パクチーなどの「個性的な香り」が多用されます。一般的なクラシックなワインでは、これらの強い風味と衝突してしまうことがありますが、酵母のニュアンスや複雑味を持つナチュールワインは、発酵食品特有の旨味と驚くほど同調します。
特に白ブドウを赤ワインのように醸造したオレンジワインは、適度な渋みと厚みがあり、点心からメインの肉料理まで通して楽しめる万能選手として重宝されています。
料理のジャンル別おすすめペアリング一覧
中国料理と一口に言っても、地域によって味わいは全く異なります。主要なスタイルごとの相性の良いワインを整理しました。
| 料理スタイル | 代表的な料理 | おすすめのワイン |
|---|---|---|
| 広東料理・点心 (素材の味・蒸し物) |
海老蒸し餃子、焼売、海鮮炒め | スパークリングワイン、辛口の白ワイン (繊細な出汁の味を邪魔しないもの) |
| 四川料理 (麻辣・スパイス) |
麻婆豆腐、よだれ鶏、火鍋 | ロゼワイン、ゲヴュルツトラミネール (スパイシーさと香りがマッチ) |
| 上海・北京料理 (醤油・甘辛・濃厚) |
黒酢酢豚、北京ダック、角煮 | 果実味豊かな赤ワイン、オレンジワイン (メルローやマルスランなど) |
中国固有品種「マルスラン」と中華料理
中国ワインを語る上で外せないのが、中国で主力品種として定着している「マルスラン(Marselan)」です。カベルネ・ソーヴィニヨンとグルナッシュの交配品種であるマルスランは、濃厚な果実味とスパイシーさを併せ持っています。
この品種は、クミンを使った羊肉料理や、濃厚なソースを使った中華料理と抜群の相性を誇ります。「中国の料理には中国のワインを」というテロワール(風土)の観点からも、現地の食卓ではマルスラン主体の赤ワインが選ばれる機会が増えています。
中国ワインに関するQ&A(安全性・購入方法・オーストラリアワインとの関係)
Q1. 中国産ワインの安全性や品質は大丈夫ですか?
かつては一部の報道(偽造酒問題など)により、「中国産ワインの安全性」や品質を懸念する声がありました。しかし、ここ数十年で状況は劇的に変化しています。
現在、寧夏(ニンシア)や山東省などの主要産地では、政府による厳格な品質管理基準が設けられています。また、フランスのLVMHグループ(アオユンなどを展開)をはじめとする海外資本の参入や、最新鋭の醸造設備の導入により、衛生管理と品質は世界水準に達しています。「中国 ワイン 評価」は年々高まっており、正規のルートで輸入・販売されている大手メーカー(チャンユーや長城など)や有名ワイナリーのボトルであれば、安心して楽しむことができます。
Q2. 日本国内で中国ワインは購入できますか?
まだ一般的なスーパーマーケットで見かけることは少ないですが、以下の方法で購入が可能です。
- ワイン専門店・通販:「エノテカ」のような大手ワインショップや、中国酒専門のオンラインストアで取り扱いが増えています。
- 高級中華料理店:都内の有名店などを中心に、ペアリングとして中国ワインを提供する店が増加しています。
- お土産:中国旅行のお土産としても人気ですが、現地の免税店や空港で購入するのが一般的です。
希少性が高く話題性もあるため、ワイン好きの方へのギフトとしても注目されています。
Q3. 中国とオーストラリアワインの関税・輸入の関係はどうなっていますか?
「中国 ワイン 市場」を語る上で重要なのがオーストラリアとの関係です。かつて中国にとってオーストラリアは最大のワイン輸入元でしたが、外交関係の悪化に伴い、中国政府はオーストラリア産ワインに対して高率の「反ダンピング関税」を課しました(※2024年に撤廃の動きあり)。
この措置により、中国国内でオーストラリアワインの流通量が激減しました。その結果、空いたシェアを埋めるために「中国産ワイン(国産)」の消費が推奨され、国内ワイナリーの技術革新とブランディングが加速するという現象が起きました。この貿易摩擦は、皮肉にも中国ワインの実力を底上げするきっかけの一つとなったのです。
Q4. 中国ワインはなぜ価格が高い傾向にあるのですか?
「中国製品=安価」というイメージを持つ方も多いですが、評価の高い中国ワインは数千円から数万円と、比較的高価格帯で販売されています。これには地理的な理由があります。
- 埋土(マイド)による人件費
- 寧夏などの内陸部は冬の寒さが厳しく、ブドウの樹が凍死するのを防ぐため、冬の間すべての樹を土に埋め、春に掘り起こす作業が必要です。この膨大な手作業が生産コストを押し上げています。
- 設備投資と輸入コスト
- 世界品質を目指すため、醸造設備や熟成用のオーク樽などをヨーロッパから輸入しているワイナリーが多く、コストがかかっています。